今日の読了

日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)

日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)

僕は1965年生まれなので,物心ついた頃には既に,SF的想像力は一般化していたと思う.大阪万博開催(1970年)からの10年間程度に,特にそんな感じがするのは,その頃特撮ばかり見ていたためか(^^;).「帰ってきたウルトラマン」「人造人間キカイダー」「アイアンキング」「シルバー仮面」から「ダイヤモンドアイ」「正義のシンボルコンドールマン」「プロレスの星アステカイザー」なんてのまで見ているので.「機動戦士ガンダム」以前のロボットアニメもいろいろと記憶しているしなあ.
そんなこんなで,SFそのものにはほとんど縁が無い−星新一は読んだけど,小松左京筒井康隆平井和正もほとんど読んでない−はずなのに,何故か大学在籍中は「SFに近しい人」という印象を持たれていたらしい(^^;).今なら恐らく,SFじゃなくて「特撮・アニメの人」として正確に分類されたのだろうが,あの当時はまだまだそのあたりは一緒くたにされていたのだった.正統派のSFの人には迷惑なことだっただろう.
それはさておき.
この手の通史は,えてして古い時代の話のほうが面白いのだけど,この本もやっぱり第二次世界大戦前後までの話が面白い.大学時代の先輩が日本SF史で卒業研究を書いていたのだけど,小酒井不木とか甲賀三郎とか,その手伝いをして以来じゃないかな,名前を見たのは.
1箇所間違いを.浜尾四郎加藤弘之の息子じゃなくて孫です(p158).加藤弘之の跡を継いだ加藤照麿男爵の四男.加藤男爵家では長男(東京芸術大学の初代音楽学部長を務めた加藤成之)以外はみんな養子に出されたそうで,知ってる限りでは五男が京極高鋭(旧名は加藤鋭五),六男が古川緑波(本名は郁郎).ちなみに浜尾四郎が養子にいったのは,東大総長も務めた浜尾新のところ.四郎の息子が浜尾実(元東宮侍従).柴田南雄に拠れば,芸大時代の加藤成之のあだ名は「乾燥ロッパ」だったとか(^^;).