今日の読了

写楽―江戸人としての実像 (中公新書)

写楽―江戸人としての実像 (中公新書)

またまた昨日の読了(^^;).その綿密な考証には頭が下がる.しかし,「近世」の特殊な事情を説明するのに,特に前半部分でやたらと「未熟な近代」を連呼するのは,図書館という近代の産物を生業としている身には,いささか釈然としないものを感じる.要は「近世」と「近代」の価値観というか,感覚の違いを説明すればいいだけの話(もしくは日本の「近世」とヨーロッパの「近代」を比較するか)なのに,何故この著者は「近代」に対して「未熟な」という形容を付けたがるのか.何とも不思議なことではある.
なお,この本には林若樹や三村竹清の略伝が載っているのがありがたい.少なくとも林については,森銑三の書いたものに名前がある以外には経歴等皆目分からなかった「謎の人」だったので.