今日までの読了

科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15))

科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15))

これも中公新書通巻2000点の記念増刷.随分前に中公文庫で同じ著者の『科挙』という本(1984年刊)を読んだ記憶があるのだが,それが元来は新書で出たものだったことを初めて知った次第.読み終わってから文庫版を探し出して確認したのだが,新書版を読んでいる間,以前読んだのはこの内容だったかしら? と疑問に思っていたのだから,ひとの記憶は当てにならない(^^;).
文庫版をくるんでいたカバーが「B.C.キャンパス」という,現在のつくば市にあった書店(今はもう無い?)のものであることも感慨ひとしお,というところ.昔は,街のこじんまりした書店でも中公文庫が普通に買えたのだよな.
 しかし,我ながら専門は何だよ,とツッコミたくなるな(^^;).業界の鵺で結構.
内容は書名の通り.楽しい文章で手際よくまとめられており,一晩で読み終わらせてしまうのが勿体無いと思ったほど.僕も何時かは,こんな旅がしたいもの.ただし,もう少し楽なターゲットで.熊の恐怖はちょっと,ね(^^;).

今日の読了

ブダペストの古本屋 (ちくま文庫)

ブダペストの古本屋 (ちくま文庫)

別用で出向いた仙台で,「古本縁日」をのぞく.読んでいたのがこの本なのは,たまたま(^^;).会場の2箇所とも珈琲が飲める古本屋さんだったのに,飲みそびれたのは残念.来月も仙台に行くから,そのときにするか.
それはさておき『ブダペストの古本屋』.著者は作曲家柴田南雄の従兄弟で,第二次大戦中も留学したブダペストから,柴田にせっせと楽譜を買い送っていた人,とは柴田の本で知り,またハンガリー語研究の泰斗であったことはぼんやりと知っていたが,最初,東京大学の図書館にいたひとだとは,この本で初めて知った(246頁−249頁).司書官として「河合,長沢,小野」の3氏が姓のみ挙げられているが,これは河合博と小野則秋と,「長沢」は誰だろう? 当時はのち女優になる荒木道子荒木一郎の母である)が目録カードを書いていたり,古川ロッパの弟増田七郎も東大の図書館にいたり.和書目録部の古参としてあげられている増田七郎については,東京帝国大学附属図書館司書増田七郎 - 神保町系オタオタ日記で取り上げられているが,ロッパの実家である加藤家は父親の照麿男爵が跡継ぎ以外はみんな養子に出す方針だったとかで(小林信彦『日本の喜劇人』),僕が知ってる限りでは次男が京極伯爵家に(京極高鋭),四男が浜尾男爵家に(浜尾四郎),六男が古川家に(古川ロッパ)に養子に出されている.長男の加藤成之は東京藝術大学の初代音楽学部長で,柴田南雄『わが音楽わが人生』に拠れば「乾燥ロッパ」と渾名されていた由.
図書館とロッパにこだわりすぎた(^^;).この本は,そのようなところに拘泥して読むべき本では無く,著者が古き懐かしきブダペストを回想したり,懐かしきブダペストの面影を収録されたエッセイが書かれた時点の現在に再び見出したりするときのささやかな喜びを,著者とともにささやかに味わうための本である.

今日の読了

高座奇人伝 (ちくま文庫)

高座奇人伝 (ちくま文庫)

こーゆうの大好き(^^;).
 
あずまんが大王1年生 (少年サンデーコミックススペシャル)

あずまんが大王1年生 (少年サンデーコミックススペシャル)

楽しませてもらっておいてナニですが,うーーーーん.評価が難しい.個人的には,絵柄が揺れているように見えてしまうのが疲れる.特に榊さん.雰囲気は相変わらず好きなのだけど.
ブルックナーの第1稿と第2稿,書き直したあとの方が傑作というわけではなく,かといって駄作というわけでもなく,というのを想起させるなあ.

今日の読了

中公新書2000点発刊記念増刷.初版は1963年.増刷なのに「42版」と奥付にあるのは相変わらず.よく目録法の講義で版表示を説明する際のネタにさせてもらう.
この本,初めて読んだが,初版が1963年で著者が名だたる反共主義者林健太郎(1913−2004)であるから,社会主義共産主義への不快感と低評価が全編ににじみ出ていて面白い.特に人物評にそれが顕著で,左翼系政治家は政策はおろか,人間性まで快刀乱麻に切り捨てられる.それでも,何ともなしに今でも読むに足る本だなと感じさせるところは,さすがに最近の凡百の保守反動とは一線を画す教養のなせるわざであろう.

途中放棄

社会をつくる自由―反コミュニティのデモクラシー (ちくま新書)

社会をつくる自由―反コミュニティのデモクラシー (ちくま新書)

 
著者が実に頭がいいのはよくわかったのだけど,頭のいい人でも自説の論拠に「山本七平」を持ち出すのだな.この名前が出て来たところで,読み続ける気力が失せた.申し訳ないが途中で放棄する.

今日の読了

近衛文麿―教養主義的ポピュリストの悲劇 (岩波現代文庫)

近衛文麿―教養主義的ポピュリストの悲劇 (岩波現代文庫)

何だか随分,近衛文麿に好意的な本.著者の指摘に説得力はあるが,著者の言わんとするところを肯定してもなお,それでも近衛の性格が易きに流れるものだったことは救いようがないと思うし,それは教養あるポピュリスト故のものではないような気がしてならないのは,こちらがこれまでの近衛観から逃れえていない,ということか.

今日の読了

琵琶法師―“異界”を語る人びと (岩波新書)

琵琶法師―“異界”を語る人びと (岩波新書)

テキストから楽器まで,天皇家・将軍家から下層民まで行き届いた,丁寧な解説である.貴重な映像のDVDはいいのだが,これのおかげで,片手では読みにくかったのが残念.